ポート・マルチプライヤで大容量ストレージを構築する(1)
ポート・マルチプライヤ(PMP:Port Multiplier)を使って大容量ストレージを構築・運用する方法を解説します。
写真は、HighPoint社のRAIDカード RocketRAID 2310(以下、RR2310)です。PCI Express x4の4ch SATA2 RAIDコントローラですが、メーカページを見てもPMPに関する記述はありません。しかし、外付けeSATA 4ポートのRocketRAID 2314(以下、RR2314)のページには、Port Multiplier (PM) ready up to 20 Drives という記述があります。RR2310とRR2314の基板写真を見る限り、同じ構成に見えますし、RR23XXは、ファームも共通のようです。ですから、RR2310でもPMPが使える可能性があります。(追記:問題なく使えます。)
PMPが使えると何が嬉しいのでしょうか? RR2310はSATA 4chなので通常はSATA2のHDDを4台接続することができます。PMPはポートを分岐させる技術で、元のSATAポートからPMP基板を介して複数台のHDDを接続できるようにします。ですから5分岐のPMP基板を通せば、RR2310は20台のSATA2 HDDを接続し、RAIDを構成できることになります。
(出展:Serial ATA 3Gbps and the Next Frontier, Intel Developer Forum Fall 2003, Sept. 18, 2003)
PMPが話題になったときにもっともポピュラーだったのは、玄人志向のPMP基板です。
■型番:PM5P-SATA2
SATAII:Port Multiplier1.1準拠SiliconImage社製Sil3726搭載変換アダプタ
最大5台のSATAディスクをPMP対応のSATA2ポートに接続することができます。RR2310と組み合わせれば最大20台を接続可能になります。 HDD側は通常のSATAケーブル4本でいいのですが、RR2310と接続する側は、eSATAになっています。RR2310側がSATAなので、オリオ・スペックなどにあるeSATA-SATA変換ケーブルなどが必要になります。
PMP基板については、オリオ・スペックのこちらのページにも関連製品が掲載されています。
しかし、PMP基板を使う方法は、2つの大きな問題があります。ひとつはHDDを2台以上使う場合、PC本体の電源では容量が足りなくなると思っていたほうがいいです。HDD用に別電源を用意しなくてはいけません。(HDD用の別電源を用意するトピック参照、注:編集中です) もうひとつはケーブルまわりが難点です。SATAケーブルとeSATAケーブルがごちゃごちゃになり、むき出しのPMP基板とあわせて、トラブルの可能性が非常に高くなってしまいます。
そこで、オススメなのが、PMP基板を内蔵したHDDボックスである、センチュリーのポートマルチプライヤ対応HDDケースです。SATA2 HDD 4個をケーブルレスで接続できます。専用電源付きで、空冷用ファンも内蔵しています。
商品名: ドライブドアSATAボックスレイド(PCI expressカード版)
型番: EX35PM4B-PE
2008年11月現在、Amazonで税込¥21,196で在庫5台でした。リンクしておきます。
このSATAボックスを当ラボでは改造して多用しています。次のエントリーでは、改造方法についてレポートします。
・ポート・マルチプライヤで大容量ストレージを構築する(2) に続きます。
メーカー: HighPoint
製品名: RocketRAID 2310
備考: PCI-Express(x4)接続RAIDコントローラ RAIDレベル0/1/5/10/JBOD